「シズコさん」佐野洋子著(新潮社)
僕はほとんど手を出さないタイプの本であるが、たまたまNHKの読書レヴューを見ていて、衝動買いし、読んだ。心に染みる言葉が随所にある。ありていに言えば共感あるいは感動というやつだろう。それは、人の人生に同じ生き方は二つとないけれど、人間というマクロな括りで言えば、多かれ少なかれ誰もが似たような人生を送っていることから生まれるものだろうと思う。猿と人間の遺伝子の90何%は同じ、違うのは毛が三本多いか少ないかみたいなもので、人の人生もほとんどは共通する。たとえば、人は必ず両親から生まれ、いつかは必ず死ぬ。これだけは100%の確率であり、避けようがない。
この本は、作者固有の人生として描きながら、実は人間誰にもあること、つまり人生に於ける100%部分を上手に汲み取ることで、読者の共感を呼び覚ますことに成功している。
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