きれいなお爺さん
3日前の火曜日、フィットネスへ行って風呂に入ったら、当所で古馴染みのお爺さんと会った。彼は僕よりうんと早い時間帯を利用しているので滅多に会うことはないのだが、今日は某所の馬場へ行ってきたとかで時間帯が重なった。
口は悪いところもあるが、とても品の良いお爺さんで、きっと育ちがよろしいのではないかと思う。更にいでたちもお洒落で、豊かな白髪、肌も艶々し、抜群に綺麗なお年寄りである。フレンドリーな方なので、会えばよく話をする。僕は決して綺麗ではないが、品があるから通じ合うものもあるのだろう。(笑)
湯船の中で、彼が「最年長なんだよ」という。このフィットネス・クラブで、という意味だ。以前、よくプールで会う別のお爺さんが最年長だったことは、その彼から聞いたが、もう来られなくなったのか、数年前に見掛けなくなったから、彼が最年長になったということらしい。
「89」
彼は、僕にそう耳打ちした。
89歳といえば、僕の母の没年と同じだ。僕の母はいつ頃からか認知症が始まり、彼女の記憶の中で僕はどんどん若返っていった。最期はとうとう、僕を見ても何だか見覚えがあるふうだけど誰だか分からないような状態になり、自力でモノを食べることも叶わなくなって亡くなった。
だが、やはり89歳の彼は、なんと馬に乗るのである。
先述したとおり、彼は時々馬場へ行き乗馬の指導をしているという。家族の反対もあって危険の多い障害はやらなくなったが、乗馬そのものは今も現役なのである。もちろん頭のほうもバリバリ現役である。
昨年、やはり久しぶりに会ったとき、僕が「お元気そうで」と声を掛けたら、「そうでもないんだよ」という予期せぬ答が返ってきた。
「○○の手術をしてね」と、今はNHKでさえあまり聞かなくなった昔の東京の人らしい音とイントネーションだ。昔の東京の人は、「~さ」とはあまり言わず、「それでね」というふうに「ね」で話を繋いでいく。この彼もそうだ。
先日は、その時の受け答えを覚えているので、「具合はいかがですか?」と訊いたら、今度は「具合が悪かったらここにいないよ」と真っ当至極な答が返ってきた。
「そりゃそうですね」と笑って返した。
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コメント
丁度親子くらいの年齢差なので、もし息子さんがいらっしゃれば、同じくらいの感じに見えるかも。
>17、8才
17、8才は、社会に出ていない第一境界線なので、圧倒的に子供な感じですね。
次の境界線である22~歳も大学生だと、やはりそう。
要は社会に出て、更にちゃんと鍛えられたかどうかの差が大きいような気がします。社会に出ても、職業によっては鍛えられないままだったり(マンガ家もそうかな?)、変な世間知だけを身につけたりした人は結局子供のままだったり……。
投稿: ヨジラ | 2009/04/11 21:47
私が17、8才くらいの人を見ると
子どもだな、まだまだこれからと思うのですが、
こういうお爺さんから見ると
先生はどう見えるのでしょうね。
投稿: パウ | 2009/04/11 00:03