「三鷹の森アニメフェスタ2013」
昨日はジブリ美術館主催「三鷹の森アニメフェスタ2013」(三鷹市芸術文化センター)に出向いて、古今のいろいろなアニメ映画を楽しませてもらった。プログラムは以下の通り。
第一部
「アニメーションからのメッセージ」
1.「ビーズ・ゲーム」/イシュ・パテル/1977年/5分/カナダ
2.「爆弾マニア」/ブジェチスラフ・ポヤル/1959年/10分/チェコ
3。「チコタン ぼくのおよめさん」/岡本忠成/1971年/11分/日本
4.「ジャンピング」/手塚治虫/1984年/7分/日本
休憩
5.「隣人」/ノーマン・マクラレン/1952年/8分/カナダ
6.「手」/イジー・トルンカ/1965年/19分/チェコ
7.「トゥ・リアン」/フレデリック・バック/1978年/11分/カナダ
※最後にもう一本サプライズ上映作品があります!
(※「くもとちゅうりっぷ」/政岡憲三/1943年/16分/日本)
今回のテーマは「アニメーションからのメッセージ」とあるように、人間社会に対する皮肉や風刺に満ちた文明批評色の強い作品を集めたとのこと。だから、アニメ=子供向けと固定観念を持って見ると、ブラックだったり、悲観的且つ悲劇的なものばかりなので、情操教育にと思って子供連れで見に来た教育熱心なお母さんたちは、もしかしたらうろたえたかもしれない。
1は弱肉強食、2は破壊へ向かう狂気、3は交通戦争の悲劇と告発、4はやはり戦争の狂気、5はエスカレートしていく紛争、6は強権による圧迫、7は動物の進化がやがて戦争を生み……といったもので、ハッピーエンドらしいハッピーエンドはひとつもなく、心温まるとか癒されるとかいった作品ではない。ただ、「トゥ・リアン」は、惨禍を描いても、バック氏ならではの美しく、癒やしに満ちたアニメになっている。ラストも優しい。
子供たちに平和の大切さ、隣人への寛容、思いやりなどを逆説的に伝えたいという、ある意味非常に教科書的で啓蒙的なアニメだが、子供にはどうだろう。特に平和ボケといわれている今の時代の子供には。実際、僕の前に陣取った子供たちは退屈そうではあった。むしろ、子供よりは遙かにオトナ受けするアニメと言える。とはいえ、描かれた寓意や世界観にはやはり子供向けとしての図式的な単純さがあり、人間社会のリアルを多少とも知るオトナは、その単純さに物足りなさを覚えるかもしれない。
最後のサプライズ上映は上記の通りで、戦時中の作品であるにもかかわらず、戦意高揚色のまったくない童話作品で、しかも、めでたしめでたしのエンディング。蜘蛛の役回りが気の毒ではあるが、僕の前の子供たちは、この作品の時が一番静かに見ていた。
第二部は、細田守監督のアニメ作品「おおかみこどもと雨と雪」の上映と同監督の講演会(インタヴュー形式)。
というわけで、昨日は久々JR中央線の電車に乗っていったわけだが、考えてみると、中央線に乗ったのがやはりこの催しの時だからほぼ一年ぶりということになる。よくもまぁ電車に乗らないでも生きていられる人生なことか。
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