MMは時代を超えたか?
今日は、音楽座ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」の東京公演の千秋楽。僕は拝見出来なかったが、楽日の公演は名残惜しさもあって盛り上がることが多いから、さぞかし盛り上がったのではなかろうか。
とりわけ、初舞台コンビである。主役が一挙に若返った。
初舞台だからといって必ず初々しいとは限らないと思うが、彼女たちはその名の通り初々しかった。そうした初々しさは、ベテランがどんなに優れたテクニックを駆使しようと絶対出し得ないものだ。だから、それがうまく回転したときには実力以上の魅力となる。今回のミュージカルは懐かしくもあり新しい、と
先日書いたが、今回その意味で、このミュージカルもある種の永遠性(エヴァーグリーン)を獲得したのかもしれないと思った。
つまり、ある時代ある時期の、土居裕子さんのレパートリーとして、そのまま歴史の彼方に消えてしまう一過性のものだったのかなと若干寂しく感じていたら、新妻聖子さんの別ヴァージョンが登場し、初めてMMのモーツァルトが土居さん以外の別のキャラクターを獲得した。
更には今回の若々しい初舞台コンビが、初演のスタイル(正確には確か三演目以降のヴァー
ジョン)を蘇らせた。この物語が、このミュージカルが、時代の波を超えた瞬間であると僕は勝手に思った。そして、波を越えるたびに物語自体も若返り、同時代を生きる観客に新たな意味を投げかけているようにも思った。
主役の二人のことばかり書いたが、ダンスはもちろん、音楽のアレンジも、舞台照明も、他のすべてもアップグレードがはかられていて完成度は高い、と今回思った。
例の事件で心配された客足も、僕が拝見した日の公演では、空席はご招待席(?)くらいで、なかなかの入りだったように思う。事件の逆作用による告知効果といったことも、部分的にはあるかもしれない。それにしても、いつもながらこれだけたくさんある席を、ほとんどお客さんで埋めてしまうんだから、音楽座ってすごいもんだなと思う。
結局今回のは一度っきりしか拝見出来なかった。来年、相模大野での公演があるようなので、もう一度拝見出来たらと思っている。